需要調査でキーワードをYahoo!知恵袋などの質問サイトで検索するという方法を聞いたので試してみました。

BCPはBtoBの領域ですので質問の数自体は少ないですが、数ヶ月に1度程度はあるようです。どうやら取引先や上司に策定を指示されて困っている、訓練シナリオをどう作るかで困っている、という方が多いようです。

そこで、知恵袋に寄せられた質問はある程度ニーズがあるだろうという考えのもと、私なりにここで回答することにします。(引用文は必要に応じて一部改行・改変しています。)

1.BCP策定に関する質問

1.1 BCP策定担当者が行うべきこととは?

BCP 事業計画を作るように、上司に指示されましたが初めて聞く言葉で困っています、何かいいアドバイスお願いします。ちなみにBCPは入社一年目で出来るようなものですか?

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12185503267?__ysp=QkNQ

こちらの質問者さんは、新入社員でBCPという単語も知らないのに、BCP策定を上司に指示されて困っているということです。

まず、質問への回答ではありませんが新入社員にBCP策定を指示するのは無謀です。BCPとは企業戦略の一環であり、企業内で統一的に実施されるべきものです。ですので、基本的にBCP策定の責任者は経営トップでなければなりません。

もちろん、経営トップが全ての業務を行うことはできませんから、社員に対して策定を指示することはあり得ます。しかし、それは方針をある程度具体的に明示した上でのものでなければならず、白紙委任であってはなりません。一社員が会社の事業戦略を左右することになるためです。これはガバナンス上大きな問題です。

仮に事業戦略が明示されていたとしても、策定実務を新入社員が行うのは難しいでしょう。BCP策定には、以前からBCPという言葉を知っている必要はありませんが、自社の事業を十分理解していることと社内の各部署と円滑にコミュニケーションが取れる程度の能力が必要です。

質問者さんの会社の規模はわかりませんが、少なくとも策定責任者は質問者さんの上司が着任し、質問者さんは上司の具体的な指示によって動くことで経験を積んでいくという体制とした方が良かっただろうと思います。

その上で具体的な経営方針や優先すべき中核事業を洗い出していくという作業を行うことになるでしょう。

1.2 印刷業のBCP策定担当者が検討すべきリスク項目とは?

BCPを策定するにあたり検討すべきリスク項目を教えてください。
例えば、地震とか、それによる停電とか、その対策は不要です。
会社は中小規模の印刷業とした場合。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1091626335?__ysp=QkNQ

質問者さんが、なぜ「地震対策が不要」と考えているかはわかりませんが、他のリスクとして一般的なものとしては風水害、パンデミック、噴火等があります。自然災害以外ではテロ、火災等があります。さらに災害以外にもBCPの対象となるリスクは存在しますが、個別の状況が不明なのでここでは割愛します。

もう少し具体的なリスクとして挙げられるのは、原料となるインクの供給停止リスクがあります。東日本大震災では千葉の化学工場が大きな被害を受け、インクの原料となる化学薬品が不足し、長期的な供給不足が続きました。

この他、印刷業は顧客ごとに全く異なる製品を供給する必要があるという特徴から、お客さんごとに担当者がおり代替要員が効きにくい、つまり人材不足が問題となるリスクが高いことも考えられます。

1.3 緊急時対応一覧表の作成方法と留意点

BCPの観点から、工場供給の電気・ガス・水の現状と場合によって、打てる対策等を一覧表に纏めたいと考えています。
しかし、どの様な項目をあげ、現状の何を確認して、一覧表へ纏めていけは良いのか分かりません。
参考例等ありましたら、ご教示お願いします。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13189246538?__ysp=QkNQ

この質問者さんは、おそらく地震等の自然災害が発生した場合の対策をまとめて管理したいということだろうと思います。

どのような項目を記載すればわからないということですが、「何のために表にまとめるのか」という視点を持つことが大切です。

BCPとは、緊急時に生じる問題とその解決方法を素早く知るためのものです。ですから、現場視点で「もしこの工場で地震が発生したら、どんな危険・問題があるだろう」という考え方がスタートラインとなります。

質問者さんの工場がどのようなものかわかりませんが、地震によって工場設備がどのような損傷を起こすだろうか、機械の転倒等の危険な場所はないか、電気が止まったら工場の操業はどのような影響を受けるか等を検討していくことになります。

現状の何を確認すればいいのかというのは次のステップです。まず上記のようにどのような問題が生じうるかをしっかりと分析・検討すれば、おのずと確認すべきポイントも見えてくるはずです。

1.4 仕入先の選定はBCPに入る?

BCPとは、安定した(潰れない)仕入先を選ぶこともそのうちに入るものでしょうか。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12163283827?__ysp=QkNQ

結論から言えば、入ります。

BCPは災害等の緊急時にでも中核事業を継続(または早期復旧)するための計画です。顧客への製品供給が中核事業であれば、当然原料等の仕入も中核事業の領域となります。そのため、災害時にでも原料を供給してくれる仕入先を選ぶことは重要なBCPの活動の一環と言えます。

仕入先を選ぶだけでなく、仕入先に対して安定供給を要請するサプライチェーンマネジメントも重要になります。

1.5 形だけBCPの体裁を整えたいがどうすればいい?

最近事業継続計画書BCPの作成を持ちかけられまして、それにあたりネットで色々調べた結果、作成の手順等は色々あるのですが、いわゆる完成した事業計画書というものが、アップされていないようです。

提出は、建前上必要なため、どうせなら完成した事業計画書を参考に多少変更して作成したい旨考えております。ある意味非常にムシのよい話なんでしょうが、それが可能であるならばある程度だれしもがそうしたいであろうと考えたら、とにかく楽してこなしたいのが本音です。

有益な情報がございましたら宜しくお願いいたします。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14166015729?__ysp=QkNQ

とにかく楽に形だけBCPを作りたいがどうすればいいかという質問です。取引先等の外部からBCP策定を要請されることは少なくありません。

こういった会社さんは(身も蓋もない話ですが)BCPを作らない方がマシです。本当にBCPが必要になったときに、形だけのなんちゃってBCPは無駄なばかりでなく、かえって混乱を招き損害を拡大させる可能性があります。

どうしても形だけのBCPが作りたいというのであれば、官公庁や業界団体やガイドラインを出していますから、それに付属している表を埋めて印刷しておけばいいでしょう。

なお、BCPの内容は多くの場合、企業の機密事項を含みます。事業戦略と直接深く関わり合う内容です。そのような完成したBCPがネット上にアップされていないというのは当然のことです。

1.6 BCP策定期間の目安とは?

BCP事業継続計画書のことで相談です。
昨年、BCP計画書を作成しました。被害想定は地震です。
お客様から水害、パンデェミックを織り込んだ、全壊したパターンを作成してくださいと
いわれました。

納期は2月中です。
もし、御社で上記を織り込んだ計画書がありましたら、参考にさせていただけませんか。
よろしくお願いします

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11170129491?__ysp=QkNQ

質問日が2月12日ですので、2週間で水害、パンデミック対応のBCPを作って欲しいとの取引先からの要望があって困っているとの質問です。

BCP策定のスパンは3か月~半年程度です。これまで水害やパンデミックの対応を全くしていないようですから、まずまともなものを作るのは無理でしょう。

納期、との言葉がありますが、BCPというのは上でも書きましたが、企業独自の事業戦略の一環ですから、商品やサービスのように取引先に提供する性質のものではありません。(閲覧させるのはもちろん企業の自由です。)質問者さんも取引先さんもBCPというものを正しく認識できていないようです。

1.7 経理・財務部門が実施すべきBCP対策とは?

経理職から見た事業継続計画(BCP)についての資料をさがしています!

現在、会社で事業継続計画を策定中です。現在は私は経理職ですが、会計・財務・経理・税務といった範囲での事業継続計画に参考になる書籍、事例を探しています。
もちろん、東日本大震災の実例が示されていると、なお良いです。

包括的、または一般論的な書籍は数多くあるのですが・・・。
ご存知の方、教えてください。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1382728663?__ysp=QkNQ

経理・財務部門等、お金の動きに関する緊急時の対応方法が見つからなくて困っているとのことです。

なかなか見つからないのも無理はありません。基本的に質問にあるような経理部門が日常的に行っている業務は緊急性が低くBCPの対象とはならないことが多いためです。

BCPは切迫した状況・限られた時間と経営資源を優先的にどう振り分けていくかという計画です。そのため、その組織が実施している事業を中心に考えていくことになり、経理や会計、税務といった業務は優先度が低くなります。

事業部門とのすり合わせを行い、緊急時に経理部にできることを探していくことになります。

2 訓練・演習に関する質問

2.1 実践的で役に立つBCP訓練とは?

BCP訓練でご相談があります。今年の三月までに火災のBCP訓練を行います。どのような訓練が実践に役立つのでしょうか。去年はシナリオに沿った訓練でした。よろしくお願いします。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14169210104?__ysp=QkNQ

実践的で役に立つ火災訓練はどのようなものか、との質問です。

BCP訓練という言い方をされていますので、BCPを既に策定されていると思われます。

BCPを既に策定しているのであれば、基本的に策定したBCPで想定する災害シナリオに沿った訓練を実施することになります。この訓練はBCPの内容を検証するとともに社員の理解度を図るのが目的となります。例えば、代替生産を委託する計画があるのであれば、火災により自社の事業がストップするようなシナリオを作ります。

昨年の訓練でそれらが検証済みであれば、応用的に予想外のシナリオを用意することも考えられます。例えば、現場責任者が不在の際に火災が発生した場合に誰が指揮を執るのか、といったシナリオも考えられます。

BCPを策定していない場合は、社員同士で意見を言い合うことで問題認識を共有するためのワークショップが効果的です。参加者が何をすべきかは参加者で全て判断するように、火災発生日時や発生状況、被害情報だけを提示して、後は参加者同士で話し合って意見をまとめてもらうという訓練です。

2.2 シナリオ非提示型演習の注意点

BCP訓練について質問です。
どんな質問がでるか直前まで教えず、判断を養う訓練を予定してます。
班の構成は、生産復旧班、設備インフラ復旧班、情報収集班があります。
質問内容で具体的な質問を教えてください。
よろしくお願いします。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12171425682?__ysp=QkNQs

質問者さんのおっしゃる訓練はシナリオ非提示型演習と呼ばれることもありますので、ここではそう呼んでおきます。シナリオ非提示型演習を実施したいが、どのようなシナリオを作ればいいか、との質問です。

シナリオ非提示型演習は上級者向けの演習です。入念な準備が必要な上、議論が脱線しやすいため、それを修正するファシリテーターに高い能力が求められるからです。厳しい言い方かもしれませんが、他人にシナリオ内容を質問するようなレベルでは、訓練で脱線した議論を軌道修正するのも難しいでしょう。

シナリオ非提示型演習は、質問者さんも指摘されているように現場での判断力・応用力が試されるという点で演習らしさがあります。

しかし、このような演習は、主催者・参加者が基本的なことを習得できていることが前提として必要となります。具体的には、BCPそのものが想定シナリオに関してある程度の実効性を持つことが検証済みであること、そしてBCPを社員が理解していることが必要です。

私もBCP策定直後のお客様に対しては、シナリオをあらかじめ前日までに告知した上で意見を持ち寄ってもらうワークショップ型訓練をお勧めしています。

2.3 訓練シナリオの地震被害想定はどのように決めればいい?

BCP(災害時対策)についての質問です。

このマニュアル作成にあたり訓練シナリオとしての仮想災害発生の想定を上司より依頼されました。
ドコドコでこういう地震があり、規模はこうで、想定される被害規模はこうでああでと言った仮想のシナリオの作成です。
こういうったシナリオ作成にあたり参考になるサイト等あれば教えていただきたく思います。

とりあえず、大規模地震が発生し~という件だけは設定されていますので
できれば地震例メインでお願いします。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1373454773?__ysp=QkNQ

訓練時の被害想定シナリオを作成する際に、どのような想定をすべきかというご質問です。

一番手っ取り早いのは、過去の大地震を参考にしてしまうことです。直下型なら近年最大規模の被害があった阪神淡路大震災や短時間で震度7が2回発生した熊本地震、海溝型なら東日本大震災やそれと同規模の地震が南海トラフで発生した場合の被害を予測して策定していくことになるでしょう。

地震の専門家でもないのに被害予測なんてできない、と言われる方も多いですが、厳密なものでなくても問題ありません。そもそも専門家であろうと実際に発生してもいない災害の予測をすることなど絶対に不可能です。

なお、訓練シナリオ作成の際にはリアリティを持たせることが重要です。いい加減な内容としてしまうと、訓練参加意識を低下させてしまうことになります。だからと言って専門的な内容とする必要はなく、あくまで参加者目線で矛盾がなければ十分です。無理にBCPのマニュアルに沿ったシナリオを作ろうとすると被害想定と整合性が取れなくなる場合もありますので注意してください。

3.その他

3.1 BCPとコンティンジェンシープランの違い

「BCP」と「コンティンジェンシープラン」の違いを教えてください。

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12131061902?__ysp=QkNQ

どちらも緊急時の対応という点では共通しています。しかし、扱うリスクの領域はやや異なっています。

一概には言えませんが、BCPが扱うリスクの領域は、発生頻度が低く発生時のインパクトの大きいものとなる傾向があります。例えば、地震、浸水被害、パンデミック等です。これに対して、コンティンジェンシープランは発生頻度やインパクトに関わらず幅広いリスクをその対象としています。

このような扱うリスクの領域の違いから、具体的な対策内容にも若干の違いが生じてきます。BCPでは事業影響度分析(BIA)という分析作業を実施しますが、コンティンジェンシープランでは実施しません。BIAは、リスクが顕在化したとき事業にどれだけの影響を与えるかを分析するものです。特に影響のリスクを対象とするBCP特有の作業ということができます。

3.2 事業継続マネジメントシステムと他のISO規格との関係

環境保護に絡む資格は、BCPのジャンルの一部ですか?

引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10146654205?__ysp=QkNQ

質問の意図が正確にはわかりませんが、もしISO14001(環境マネジメントシステム)のことを指しているのであれば、BCPとの関わりもあります。

BCPには事業継続マネジメントシステム(BCMS)というISO規格があり、ISO22301として2012年に制定(2019年改訂)されています。ISOで構築されるマネジメントシステムの規格は他のISOとの統合が可能なように工夫されています。

ですので、ISO14001と22301の両方を取得した場合は同じマネジメントシステムで運用することが可能であり、その意味で共通のジャンルという見方もできるかと思います。