生活保護利用者を対象とした貧困ビジネスの被害はクスなくありません。記事執筆時点でも貧困ビジネスが急増しているのと、新聞記事にありました。

そこで、生活保護をこれから利用される方が水際で貧困ビジネスに巻き込まれないようにするためにはどうすれば良いかを紹介します。

貧困ビジネスの手口

生活保護貧困ビジネスのよくある手口は、紹介物件に居住することを条件に(多くの場合は無料で)生活保護申請のサポートをすると謳っておきながら、生活保護利用開始後にあの手この手で理由をつけて保護費を搾取するというものです。

具体的な貧困ビジネスの手口として記事では次のようなものが紹介されています。

・請求された家賃が相場より2万円高かった。
・退去を申し出ても担当者が応じてくれない。
・不要な家具を有料で押し付けられる。
・契約書類を福祉事務所に見せないように言われる。
・生活保護費が手元に2万円しか残らない。

 

生活保護貧困ビジネス被害を防ぐ方法

このような生活保護貧困ビジネス被害を防ぐにはどのようにすればいいのかを紹介します。

無償の生活保護申請サポートに注意する

まず、生活保護申請サポートの無償を謳っている業者に注意する必要があります。

私のような行政書士に依頼すると申請サポートに数万円かかりますので、住むところがない方にとっては無償サポートは魅力的に感じられるかと思います。

しかし、冷静になって考えてみてほしいのですが、事業者が無償でしてくれるということは、他の部分で何か儲けようという考えがあるということです。

無償サポート事業者の多くは、自社の紹介する不動産に居住することを条件としています。つまり仲介手数料が利益になりますが、生活保護対応物件は家賃が安いため、大きな利益にはなりません。そのため、実際の家賃より割高な料金を請求する等の悪質なケースが増えているのです。

手前みそですが、行政書士等の国家資格士業の申請サポートは有料な分、リスクは低いです。行政書士は依頼人に対する誠実義務・守秘義務等が法律で課されていますし、サービス自体で利益を得ていますので、後から変に追加料金を請求されることは通常はありません。(少なくとも私は一切してません。)

住むところがなくて困っている方に大家さんを紹介することができる行政書士も多いですので、不動産業者にこだわる必要はありません。

とは言っても、実際お金がないのに有料の行政書士に頼むより、リスクを承知で無償サポートを選ぶ方もいらっしゃるでしょうから、水際でどういった貧困ビジネス対策が考えられるか、私なりの考えを紹介します。

家賃相場を自分で調べておく

記事には、一般向けに紹介されている同じ物件が2万円も高く請求されているとありますが、これは事前にその業者が紹介している物件を調べておけばすぐに貧困ビジネスだと判断できます。

そうでなくとも、紹介してもらいたい地域の家賃相場をしっかり調べておけば、割高かどうかの判断はある程度できるでしょう。

あらかじめ具体的な物件の住所、見取り図、築年数などを見せてほしいとお願いしてみましょう。これに難色を示したら貧困ビジネスの可能性が高いと思います。

他にかかる費用がないか最初に確認しておく

本当に無償なのか念押しする形で聞いておくのも良いです。

後で何か請求するつもりなら、はっきりしたことは言わず態度がたどたどしくなるはずです。

契約書をよく読む

記事では契約書を福祉事務所に見せないように言われたとの話がありますが、誠実な業者であれば絶対にそんなこと言いません。また、仮に言われたとしても応じる義務はありません。

契約書に目を通して「契約内容を他人に口外してはいけない」との条項があれば、契約上義務は発生しますが、そうなると「なんでそんな条項があるの?」という話になってしまいますから、かなり怪しいです。

しかし契約書を読むのは大変という方もいらっしゃるでしょうから、そういう方は、「生活保護申請のためケースワーカーに契約書を提出する」と言ってみるのが手っ取り早いでしょう。これで難色を示したら貧困ビジネスの可能性は高いです。

「言われるがまま」に業者に任せない

契約書にないことを求められたら、とにかく断るのが重要です。契約になければ口頭でいくら言われても応じる義務はありません。

無償サポートだと相手に恩や義理を感じてしまい、ついつい言われるがままに話を進めてしまいそうになる方が多いですが、それこそ悪質業者の思うツボです。

冷静に考えてほしいのですが、生活に困っている方に無償サポートをすると言っておきながら後から金を請求するような業者に恩義を感じる必要など1ミリもありません。

 

以上、私なりに考えた貧困ビジネスのの水際対策でした。参考になれば幸いです。

参考記事:家賃2万8500円アパートが割高4万6000円に、家具押し売りも 記者が見た「お部屋探し」貧困ビジネス(東京新聞2023年11月17日)